| プロジェクト現場からの声や、伝統智に基づく開発のアプローチの探究、オルタナィブな潮流を生み出すためのメッセージなどを発信するメルマガです。
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| ≪「開発と未来通信」 Vol.2≫ 04/5/16 |
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| 【ひとこと】広島で感じたこと 【特集1】モンゴル持続的遊牧システム構築事業 モンゴルの家畜の皮は世界の皮需要の10%をカバーしている。モンゴルでは計画経済時代には皮革製品を多く輸出していたが、1990年以降の計画経済から市場経済への移行過程において、皮革加工工場が民営化されて、多くの人がこれらの工場の資本を所有するようになった結果、効率的な意思決定ができずに経営に困難をきたす企業が続出し、皮革製品の生産能力は著しく低下した。一方、寄生虫対策といった獣医サービスが民営化・有料化されて利用されなくなり、その結果家畜の皮の質が通常の皮製品を作れないレベルにまで低下したため、現在では"ウェットブルー"という半加工製品を中国へ輸出し、イタリアや韓国からなめし皮や最終製品を輸入するようになってしまった。中国では、こうした質の低いウェットブルーをスライスにして、様々な用途に使っている、とのことである。 市場経済化が導入された当初は、中国とのジョイントベンチャーを含む多くの中小規模の皮革加工工場が設立された。その数は、現在休眠しているものも併せて、一次加工工場が35社程度、毛皮加工工場が14社程度、革製品加工工場が35社程度あると言われている。これらに加えて、かつての国営企業が民営化された、シェブロ社、ネヒキ社、及びブリガー社といった比較的大規模な企業が稼動している。これらの皮革加工業の構造的な問題は、一次加工工場はウェットブルーまで加工して輸出する一方、最終加工工場は「なめし皮」を輸入して加工しているため、本来ならすべて国内で加工することによって生じるべき付加価値が、海外に流れていってしまっている、ということである(@ウエット・ブルー:クロム液体に24時間浸け、毛をとった状態、Aクラスト:ウエット・ブルーをオイルにつけ処理した段階のもの。Bなめし皮:クラストに着色加工したもの)。現在の民間企業には、かつて国営企業時代に海外に派遣されて研修を受けた技術者が少なからずおり、輸入されたなめし皮を使って、輸入品に十分対抗しうる最終皮革製品を作っている。従って、国内の原皮の質を高めて良質のなめし皮を作ること 現在は、モンゴルにおいて屠畜した家畜の皮の表面は、平均して95%が何らかのダメージを受けており(うち三分の二は寄生虫による傷で、残りが屠畜や輸送時にできた傷)、その結果、平均して一枚の皮の40〜50%程度しか使えない状況にある。家畜の原皮は加工して初めて寄生虫の害に犯されていることがわかるため、原皮の購入時には寄生虫対策を受けた家畜と受けていない家畜の区別はつかない。皮革加工工場は、質のよい家畜の原皮には高い値段を支払うつもりはあるものの、購入時に区別がつかないことから、仲買人は一律低い価格をつけて牧民から原皮を購入することとなるため、牧民の側としても有料の獣医サービスを受けて家畜の皮の質を向上させるインセンティブはなくなってしまっている。1頭の家畜が屠畜されるまでにかかる3年間の薬剤費用は、大型家畜は約4
USドル、小型家畜は約1 USドルとなっており、それぞれ皮の販売価格の1/4〜1/7程度(販 家畜の皮の質を向上させて牧民が高い価格で原皮を売れるようにするためには、牧民が寄生虫の駆除を行ったことが価格に反映されるような仕組みが必要であり、そのためには、皮革加工工場、仲買人、牧民、及び獣医の間で、ある程度長期的視点に立った信頼関係が構築されることが必要である。そこで、モンゴル国 本プロジェクトは、開発と未来工房の支援を受けているモンゴルNGOの「21世紀遊牧社会センター(CFNS)」、モンゴル国立農業大学獣医学研究所(VRI)、モンゴルの皮加工会社であるシェブロ社の3者共同のプロジェクトとして行われることとなった。これら3者は、寄生虫対策の欠如について共通の問題意識をもっている。 まず、2004年1月に3者による会議が2回開催された。本プロジェクトは開発と未来工房の資金援助を受けるものの、基本的にモンゴル人たちが自らの協力と知恵によって実施していくものである。自立心の強いモンゴル人たちは、垂直型の意思決定システムには慣れているものの、水平型の協力関係によって事業を行った経験は少ない。この問題は第1回目の会議の冒頭において早くも現れた。シェブロ社のマネージャーが、参加者の誰かが利益を独り占めするのではないかという懸念から、「誰も利益を独占しないような保証がほしい」という主張を行ったの もう一つの問題は、家畜の皮が季節や需給状況によって大きく上下することである。これに対してシェブロ社は、寄生虫対策がされた家畜の皮については常に、できるだけ皮のみならず肉も合わせて、市況に対して10%のプレミアムで買う、と約束した。さらに、同社は牧民が寄生虫対策に積極的に参加するように、妊娠 また家畜の治療にあたっては、小型家畜のみならず大型家畜についても寄生虫対策を行うこととなった。なぜならば、小型家畜と大型家畜は一緒に放牧されるため、片方のみの寄生虫が駆除されても、もう一方に移ってしまい、効果が落ちてしまうからである。さらに、外部寄生虫のみならず、内部寄生虫も駆除することにより、家畜の内臓機能が向上して冬をよりよく越せるようにすることとした。 プロジェクトサイトについては、CFNSがこれまで食肉のマーケティング事業を行ってきたアルハンガイ県チョロートソムを候補として想定していたが、現地組織の脆弱性により失敗する可能性が低くないことから、新たなサイトについての検討を行うこととなった。 以上がプロジェクト形成に関する3社会合の概要であるが、今後の問題としては、いざ牧民が屠畜して我々が皮を購入するときに、実際に皮の市況が高ければ、やはりシェブロ社は買い控えてしまう、つまり購入の約束を反故にしてしまうのではないか、という懸念が我々にある。いずれにしても、寄生虫対策によって家畜の皮の質がどの程度向上するかもよくわかっておらず、さらに市況を予測することも困難であることから、現段階であれこれ考えても始まらず、走りながら問題を解決していくしかない、というのが我々の考えである。 次回は、プロジェクトの候補地をどうやって選び、プロジェクトの開始にどのようにして至ったか、報告を行うこととする。(森真一) 【特集2】チベット伝統医の全国会議と初の国際会議の開催:チベット伝統医療 チベット伝統医療の担い手である伝統医(アムチ)たちが自ら考え行動する。それを具現化する場として、ネパール全国アムチ会議は構想された。第1回が2000年度にカトマンズで開かれ、以来毎年1回のペースで続き、今年1月21日―23日のは第4回目であった。第1回、第2回は、アムチ間の相互理解と状況認識・行動課題の明確化が行われ、第3回では、今でも山間僻地で重要な役割を果たしているチベット伝統医療に対する、ネパール政府の公的認知を求める要請書がとりまとめられた。第4回はそれらを踏まえて、アムチを養成する教育システムの再構築が会議の主要テーマとなった。 チベット伝統医療は、祖父・父などから子へと、世代を超えて知識と技が伝授されてきた。弟子入りして学ぶことの良さは、徹底した個別指導であること、見よう見まねで実技がしっかり覚えられること、生活も含めて伝統医のあり方を学べることなど、職人の徒弟制度と似た面がある。しかし政府によって正式に認知されて公的医療システムの一翼を担うためには、伝統医療においても養成課程の標準化と資格制度の確立が必要とされるようになっているのである。会議では、既に小規模な形で始まっているアムチの養成学校が今後協力し合い、標準化したカ 引き続いて、第1回となる国際アムチ会議が1月25日−29日に行われた。もともとアムチの招聘のための予算は4人分しかなかったが、ブータンから3人、チベットから3人、モンゴルから2人、インドのラダックから1人のアムチが駆けつけてくれた。関連諸国の関心の高さが伺える。この会議では、各国のチベット伝統医療(但し、モンゴルではチベット医学を理論的支柱としつつ、独自性を加味し、「モンゴル伝統医療」と称している)の現状と課題を報告しあうとともに、特にアムチの養成機関の教育内容と今後の展望について話し合った。合意内容については、10ページほどのResolutions and Action Planにまとめられた。 ネパールではその後3月に、ネパールの政府機関と協力して、アムチ養成のための正規カリキュラムを策定するためのワークショップを、19日間に亘って行なった。このワークショップで取り組んだ難題、課題については、また後日報告したい。 ADFにおけるこの事業の担当責任者である鎌田は、1999年からチベット伝統医(アムチ)の参加型ワークショップをネパールやインドで開催し、ビジョンと戦略づくりとその具体化(上記の会議その他)をサポートしてきた。チベット伝統医療の復興・発展の道のりは長いとはいえ、そのための行動主体が育ってきているこ 【現場でのちょっといい話】 川はまだ白く凍っていた。5月の草原は枯草色だが、目を凝らすと、ところどころうっすらと若草色に芽吹き始めているのがわかる。人々と同じように、大地も、季節を告げる最初の雨を静かに、我慢強く待っているかに見えた。 第3回モンゴル大草原エコロジースクールを前に、事前準備のため開催地ハイルハン・バグ(ウランバートルの西方約600キロ。バグは村レベルの行政単位)を2004年5月に訪れた。 過去2回を受け入れてくれたバグの人々はこのツアーをどう考え、何を求めて協力しているのだろう。振り返って見ると、現地のエコロジースクール運営委員が他の牧民らと学びのプログラムの草案を作ったとはいえ、過去2回はやはり日本側・モンゴル側スタッフの意図に沿って現地が準備し、運営に協力するという形であった。現地にとってさらにプラスになる事業に成長させるためには、バグの人々がもっと主体的に関わることが不可欠だ。「参加」から自然な形で「参画」へと。そんな思いを胸にバグに向かった。 がたがただった道路が改善され、午前9時に首都を出て、日没前に到着。バグセンター付近の草原に、いつも夏に目にするゲル集落は見えない。春営地のせい? 滞在中、運営委員や多くの人々と話をした。今回現地説明用に初めてモンゴル語訳した第2回の報告書抜粋も見てもらった。運営委員から、日本人をぜひ受け入れたいという世帯が多い、人々にとっていい経験となっていて学ぶことも多いなど好意的な意見が多く聞かれた。多くの場合人々は否定的な意見をいうことを好まないので、安心してはいけないが、やはり嬉しい。 「第2回の寄付をどう役立てたかを、日本側に伝える必要がある」と言う意見が出て、昨夏は参加者少数で寄付も少額ではあったが、使途報告が提出された。企画内容も色々と提案してくれた。 短い滞在で、彼らのやさしさのむこうにある本音には迫り切れなかったが、前向きに一緒に学びの場づくりにとりかかろうという主体性が運営委員の態度から伺えたのは良かった。 ソム役場で、ソム長や議会議長からソム開発事業の現状等を聞き取り、ツアーへの協力を要請した。バグ小学校について、ソム長は「閉鎖したいわけではなく、児童が集まれば授業を行う」と言っていた。来年度授業を行うかどうかは今年6月20日までに決定されるという。バグの人達は「昨年9月初めには学校が閉鎖になると思っていなかった」と言っていた。でも昨年も早い段階で閉鎖が決まっていたはず。つまりバグに情報がなかったということ。 最近このバグでは調査・申請段階にあった複数の支援プロジェクトの実施が見送られたが、多くの場合、何故実施しないという結論に達したかの理由について現地には説明がなかったと聞いた。調査段階とはいえ、生活向上につながると期待して待っていた牧民には、何の情報も届かない。情報から取り残されると、憶測に頼らざるを得なくなり誤解も生じる。これは他人事ではなく、ツアーをする中で説明不足を常に課題と感じている。 ツアーを行うことは草原と日本の人々をつなぐこと。それだけではなく、バグの人々が、必要とする協力ができたら。また同時に、なかなか聞こえて来ないつぶやきを含め、彼らの声を伝えて行きたいと感じている。 ■■■おすすめ情報■■■ 首都から約600キロ、広い草原でヤクが草を食むハイルハンでは遊牧民らのゲルにホームステイ。各人の興味に沿った学びを人々とスタッフがサポートします。きれいごとではない遊牧民の実生活を体験してみたい方、自分の関心があるテーマを深めたい方、モノのあふれた日常生活に疑問を抱いている方、 遊牧民に何かを伝えたい方……牧民ら現地実行委員会が皆さんの参加を待っています。参加費の一部が彼らの共同体の活性化に役立てられます。 6月13日(日)14時より、MoPI事務所(大阪市港区のPia NPO)にてツアーの説明会を開催します。また 6月6日(日)午後に大阪市総合生涯学習センターにて開かれるスタディーツアー合同説明会にも参加予定です。 ツアーへの参加は無理という方でも、広報などお手伝い頂ける方も大募集中です。特に関西以外在住の会員の皆様!ツアーを広報できるメディア(地方紙やニュースレター)やチラシを置いたり、配布したりできる場所の情報などお待ちしています。また興味を持たれそうな方へのご紹介を是非お願いします! お問い合わせやパンフレット・申込書の請求(ホームページからもダウンロードできます)はMoPI事務局の斉藤またはスタッフの鎌田・藤本まで。なお、MoPIホームページでも詳しく紹介しています。 ■ 編集後記 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ |
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